古い友人が見せてくれた、歌舞伎の新しい世界

私は友人や知人、スタッフから「歌舞伎を見たことがない」と聞くと、すぐにチケットを手配したくなります。
20年来の知り合いの池田さんも歌舞伎を見たことがないと知って、お誕生日のお祝いに喜ばせたいと思い立ち、「十二月大歌舞伎」第三部『天守物語』坂東玉三郎 演出・主演の公演にご招待しました。

歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より

『天守物語』は、白鷺城(姫路城)の天守閣にまつわる伝説をもとに、天守の最上階に棲む美しく気高い天守夫人・富姫と、若き鷹匠・姫川図書之助の至上の恋が描かれる物語。今回は、演出を兼ねる玉三郎が本興行では2014年以来10年ぶりに富姫を演じ、市川團子が初役で姫川図書之助を演じます。図書之助役は、1965年1月日生劇場で、團子の祖父にあたる二世市川猿翁(三代目市川猿之助)も務めています。

(松竹が運営する歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より引用


私は昔から歌舞伎鑑賞を楽しんできましたが、素晴らしい公演を数多く観てきたせいか、素晴らしいことが当たり前で見始めた頃のような新鮮な感動を味わうことが難しくなっているのも事実です。
でも、池田さんにとっては初めての歌舞伎鑑賞。彼女のフレッシュな視点を通じて、私も新たな気持ちで楽しむことができました。まず、彼女が歌舞伎鑑賞をしたことがないにも関わらず市川團子さんが初役で姫川図書之助を演じることをとても楽しみにして、興奮していたことに驚きました。実は、私は彼のことをよく知らなかったのです。

 

 


歌舞伎座に到着すると、池田さんは早速写真を撮り始めました。美しい日本の風景は写真でも見ることができますが、夜の歌舞伎座の明かりは特別で、写真で見るだけでは伝わらない美しさがあります。その光景を生で目にすると、やはり心が踊ります。私が「生で観る」ということの価値を初めて実感したのは、初めて大相撲を観に行った時でした。

 


コンサートも同じです。以前の記事(「ラジオとの出合い 〜JazzyPopシンガーのRyu Mihoさんのラジオ番組でインタビューを受けて〜」)でもお話ししましたが、実は以前、日本のジャズ界のゴッドファーザーであり世界的に有名なサックス奏者である渡辺貞夫さんのもとで働いていました。そのおかげでジャズのライブ演奏をたくさん体験しました。それまでジャズに詳しいわけではありませんでしたが、ライブで聴く偉大なミュージシャンの演奏には、特別な何かがあります。だからこそ、私はいつも皆さんに「ぜひライブに行ってみて」と勧めています。好きな音楽家の演奏を生で聴くことには、テレビや録音では味わえない感動があるのです。

池田さんは感想をこんなふうにまとめてくれました。
「伝統的な歌舞伎の演技と、現代的な照明や舞台効果が融合したことで、人間界と別世界の間で物語が繰り広げられているような、不思議な空気感がありました。こんな体験は初めてです。出演者の皆さんの所作が本当に優雅で、心を奪われました。
貴重な体験を本当にありがとうございます。幕間の「吉兆」で食事でのお食事も美しく、とても感激しました。感動を再現したくて、公演の翌日にスーパーで白味噌と胡麻豆腐を買って「胡麻豆腐白味噌仕立て」を真似したほどです。本当にありがとうございました。」

 

池田さんのおかげで、少し慣れ親しんだはずの歌舞伎がまた新しい世界に連れて行ってくれたように思えました。池田さん、本当にありがとう。
 

 

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