改めて、ナチュラルホルモン補充療法の重要性について。
お盆休み、ニール・ルージエ医師の「Natural Hormone Replacement Therapy Part I」講座の10回目の再履修をしました。受講するたびに、ナチュラルホルモン補充療法の正しい知識を広めたいという思いが強くなります。私自身、約25年間ホルモン療法を続けており、そのおかげで生物学的年齢は48歳という結果が出て、免疫系の指標も20〜40歳相当を維持しています。
最近になってやっとFDA(米国食品医薬品局)の諮問委員会が「WHI(ウィメンズ・ヘルス・イニシアチブ)研究の結論は誤解を招き、ホルモン療法に不必要な恐怖と混乱をもたらした」という長年の専門家たちの長年の指摘を認めました。公的な語りが少しずつでも正されていくことは心強いです。
ルージエ医師のセミナーや継続的な活動を通じてバイオアイデンティカル・ホルモン補充療法(BHRT)を日本に紹介してきた草分けの一人として、改めてこの取り組みの重要性を実感しています。
更年期は多くの方は40代前半〜半ばに始まり、完了まで10年、場合によってはそれ以上かかることがあります。私自身も45歳で変化に気づき始めました。出産期の女性を支える主要ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンがこの頃から低下し始めます。早く始まる人もいれば、遅い人もいます。この年代でホルモンが減少し更年期の症状が出るということは年相応で仕方ないようにとらえられがちですが、今、45〜55歳の女性といえば社会の重要な担い手であり、働き、創造し、リードしているのです。

ビタミンやミネラルと同じように、ホルモンも最適域(20代に近い水準)まで補うことができます。ルージエ医師はこの移行期を「ノー・マンズ・ランド(宙ぶらりんの時期)」と呼びます。ブレインフォグ(頭がもやっとする感じ)、倦怠感、抑うつ、ホットフラッシュ(ほてり)といった症状が出始める時期です。多くの医師はこれを更年期の“正常”な状態として見過ごしたり、症状に一時的に対処する薬を処方したりしますが、薬の量は時間とともに増えていくことが多いのが事実です。

私は閉経の5年前からホルモン療法を始めました。最初の医師は時期尚早にエストロゲンを処方し、その結果、子宮筋腫が大きくなって摘出が必要になってしまいました。ルージエ医師は、当初はプロゲステロンだけで十分で、のちに月経が止まった段階で、ホルモン検査(FSH/LHの値)に基づいてエストロゲンを追加すべきだと助言してくれました。
ここで、ご注意いただきたいことがあります。日本で承認されている「合成ホルモン」と「天然型(バイオアイデンティカル)ホルモン」には大きな違いがあります。必ず、処方されるものが何かを医師に確認してください。製薬企業の製剤であれば、ほとんどが合成ホルモンです。バイオアイデンティカル・ホルモンは、調合専門の薬局(コンパウンディング・ファーマシー)でのみ製造されます。残念ながら日本では同様の制度がなく、薬局で患者ごとにホルモン製剤を個別調製して販売することはできません。なお、日本ではこの分野の専門研修(Natural Hormone Replacement Therapy トレーニングコース)を受講・修了している医師はごく少数に限られるのが現状です。受講・修了し、適切に治療を提供できる医師にご相談ください。
私は25年間、医師向けのBHRT研修プログラムの整備に力を注いできました。ぜひ、皆さまの身近にいらっしゃる医療従事者の方々にもこの研修の受講を勧めてください。ホルモンは、男女を問わず、がん、骨量減少、認知症、心疾患の予防に役立ちます。
次回の「総合ホルモン補充療法 プロトコルをマスターする2回コース」をご案内します。少しでもご興味を持たれましたら、お問い合わせください。聴いて良かったと思っていただける内容となっております。
先日、歌舞伎を観に行った際、激しく扇いでいる女性をお見かけしました。ホットフラッシュではないかと、大変お気の毒に思いました。その辛さを経験せずに済んでいることに感謝してるからこそ、私はこの療法を広めることに意義を感じています。