豊洲市場、そこはまるで全ての人が完璧に役を演じ上げる巨大な演舞場 〜朝4時のメイクアップ、私も観客を演じて〜Toyosu Fish Market
市場の運営と管理体制の素晴らしさにはいつも感動するので、行ける機会があれば、絶対に行くことにしています。 何年も前にも、観光客であふれる築地市場に行ったことがあります。当時は競りの最中でも場内を歩くことができました。東京都は2018年10月、老朽化した築地市場を豊洲の広いスペースに移転させ上階に展望台を設けたので、見学者は競りの邪魔をすることなく市場を一望できるようになりました。
入場券は無料ですが数に限りがあるため抽選となり、行きたい月の前月初めに申し込む必要があります。私は3月分のチケット2枚を手に入れるため、2月に申し込みました。申し込み手続きでは、自分とグループ全員の名前を本名で記入する必要があります。登録した氏名は到着時に確認するために使用され、もし何らかの理由で行けなくなっても、代わりの人は入場できません。
今回申請をした3月7日のチケットは、2月18日に当選の通知がきました。日本人の友人を今まで行ったことのない場所に連れて行くのはいつも楽しいです。私はこのような正真正銘の日本的な体験がとてもおもしろいと思うし、こういう冒険を友人とシェアするのが大好きです。
5時半までに築地市場に到着するには、朝4時に起きて5時に広尾を出発しなければなりません。メイクアップをしないで外出することはできないので、余裕を持ったスケジュールを組みます。市場に着いてからも待ち時間がありますが、同行者に記者がいる場合は先に中に入ることができるそうです。
競りは最も高価なマグロから始まります。見学エリアからは、人々がイキイキと競り合う姿が見え、競り人が鳴らす鐘の音が聞こえてきます。1日に5人の競り人がいて、約200人の買い手が約200匹の新鮮なマグロと約1000匹の冷凍マグロを競り落とします。
とてもエキサイティングなその光景は、まるですべてが演出のよう。完璧に振り付けられたダンスのようです。 誰もぶつからない。誰かに指示されているわけでもない。誰もが自分の役割を正確にこなし、誰とも重ならず、ぶつからない。すべてが完璧な時計仕掛けのように機能する。それは音楽の演奏にも似て美しいのです。
外国人が渋谷のスクランブル交差点を面白いと思うのは、そういうところではないでしょうか。 1、2分の間に何百人もの人が4方向に歩いているのに、誰も他の人にぶつからない。すべてがスムーズに動いているのです。 それはすごいことです。豊洲市場はその10倍、いやそれ以上かもしれません。
美しさとは、メイクアップをするということだけではありません。
豊洲市場では、そこに関わるひとりひとりの意味とひとつひとつの動きが、美しさを生み出しています。そしてその美しさを鑑賞することもまた美しい。
We should all take pride in whatever role we play and do our best at it.
私たちは、自分が演じるどんな役にも誇りを持ちベストを尽くすべき。私はそう思っています。